絞りとシャッタースピードが重要なのはどうして?


 それほどカメラに詳しくない人でも、「絞り」や「シャッタースピード」という単語を聞いたことがあるはずです。「何となく撮影に関係ある用語だな…」とおぼろげながらわかっていても、コンパクトデジカメを使用すれば、絞りやシャッタースピードを意識することなく美しい写真が手軽に撮影できるので、特に気にしていなかった人がほとんどでしょう。
コンパクトデジカメの中には、撮影中に絞りやシャッタースピードの値がモニター上に表示されない機種もある。それらの値の変更は、すべてカメラ任せとなっている デジタル一眼レフカメラのファインダーを覗くと、絞りとシャッタースピードの値が常時表示されているのがわかる(一番下の数字)。撮影には欠かせない情報なのだ

 絞りやシャッタースピードは、光が入ってくる量を調整するためのものと思ってください。写真は光をコントロールして作るものであり、その光を調整する絞りやシャッタースピードは表現にかかわる大事な要素といえます。そこで、絞りとシャッタースピードの関係や特性をぜひ頭に入れておきましょう。

絞りを調節するとピントの合う範囲も変わってくる

 絞りとは、レンズ内にある「絞り羽根」と呼ばれる部品の形状の変化により、光の量を調整する役割を持つ機構のことです。絞りの段階(F値と呼ばれる)は「F1.4」「F2」「F2.8」「F4」「F5.6」「F8」という具合に数値によって表され、数字が大きくなるにつれて絞りの量が大きくなり、入る光の量が少なくなります。逆に数字が小さくなると、入る光の量は増えます。

■絞りの形状と光の量の違い

 例えば、絞りを5.6から8に変える場合は「1段絞る」と表現し、入る光の量は1/2に減少します。逆に、絞りを5.6から4に変える場合は「1段開ける」と表現し、入る光は2倍に増えることになります。

 絞りを調節すると、単に入る光の量が変わるだけではありません。絞りを開けるとピントの合う範囲が狭くなり、背景のボケが大きくなります。逆に絞れば、ピントの合う範囲が広くなるという特性を持っています。

絞りの値をF5.6に設定して撮った左の写真では、浅い範囲のみピントが合い、手前や奥の方がボケている。絞りをF11まで絞った右の写真は、全体の広い範囲にピントが合った

 一方のシャッタースピードは、カメラ側に付いているシャッターが開く時間を操作することで、撮像素子に光が当たる時間を調整する役割を持ちます。1/250秒というシャッタースピードは、250分の1秒しかシャッターが開いていないことを表します。ここからシャッタースピードを1段上げると1/500秒、逆に1段落とすと1/125秒となり、光が入る量はそれぞれ1/2と2倍になります。

適正露出になるよう両者の値を調整する必要がある

 ちょっと複雑な話になってしまいましたが、簡単にいうと絞りはボケのコントロール、シャッタースピードはブレのコントロールを行うもの、と覚えておいてください。ただし、だからといって「ピントを奥まで合わせたいから絞りをF16にして、ブレないように1/4000秒で撮影する」と勝手に決めることはできません。そこには「適正露出」というものがあるためです。

 撮影した写真が明るすぎや暗すぎではなく、ちょうどよい明るさになっている状態が適正露出です。撮影感度がISO100の場合、晴天の日中ならば1/250秒でF8というのが、基本となる適正露出の組み合わせです。この状態を基準として、絞りを絞ってレンズを通る光の量を少なくしたら、シャッタースピードを遅くして露光時間を長くし、撮像素子に当たる光の量を多くしてあげなければなりません。逆に、シャッタースピードを速くして撮影したいのならば、絞りを開けて光が通る量を増やす必要があります。

シャッタースピードを高速な1/1600秒にした左の写真では、水の動きの一瞬をピタリと止めて撮影できた。右は動きのあるバスの躍動感を出すために、1/15秒のスローシャッターで撮影。シャッタースピードを変えても、絞りを調整すれば適正露出で撮影できるのだ

 絞りとシャッタースピードの関係を解説する際によく例えられるのが、水道の蛇口と水をためるバケツです。バケツの大きさが感度で、蛇口を開く量が絞り、蛇口を開けている時間がシャッタースピードと考えてください。

 水を光の量とすると、バケツがちょうどいっぱいになるように(=適正露出になるように)するには、蛇口を開ける量や時間を加減する必要があります。蛇口をちょっとしか開けなければ(=絞りを絞れば)、バケツにたまるまでの時間が長くなりますし(=シャッタースピードが長くなる)、蛇口を最大に開けば(=絞りを開けば)短い時間でいっぱいになります(=シャッタースピードが短くなる)。また、バケツが大きいと(=感度が低いと)たまるまでの時間が長くなり、バケツが小さいと(=感度が高いと)時間は短くてすむというわけです。

 さらに、このバケツに過不足なく水がたまれば適正な露出ですが、もしあふれ出してしまったら光が当たりすぎて明るすぎる画像になり(=露出オーバー)、水が足りなければ暗い画像(露出アンダー)になってしまいます。

−1段(アンダー) 適正露出 +1段(オーバー)
適正露出を中心に、±1段ずつ絞りを変えて撮った写真。このように明るさが変わることがわかる。ほとんどのデジカメでは1/3段単位で変えられるので、もっと微妙な調節が可能だ

 ふだんはカメラ任せにしている絞りとシャッタースピードの設定ですが、何をどう調整すればどのような効果が生まれるのかを頭に入れておくと、よりよい写真を撮影するひとつのきっかけになるでしょう。

●今回のまとめ(絞りとシャッタースピードについて)
・絞りとシャッタースピードで取り込む光の量を調整する
・絞りを絞るとピントの合う範囲が広くなる
・双方をうまく調節すれば適正露出で撮影できる