中古の腕時計をより高級そうに感じさせる撮影テクニックとは?


 これまで、オークション出品用に最適な見栄えのする写真の撮り方を考えてきました。4回目となる今回は、出品する機会が比較的多いにもかかわらず、撮影の難易度が高い腕時計の撮り方を考えてみましょう。前回使用した撮影ボックスを用意し、蛍光灯のデスクスタンドで被写体を照らしたうえで撮影することにしました。
▼腕時計の全体を見せようとすると、肝心の文字盤が小さくしか写らない…
撮影ボックス内に腕時計を置いて、三脚に据えたデジタル一眼レフで撮影した。中古の腕時計なので、革ベルトに巻きぐせが付いてしまっており、波状に歪んでいて美しくない。また、腕時計の全体の様子が分かるのはよいのだが、肝心の文字盤の部分が小さくて見えにくいのが難点だ

 腕時計はベルトが付いていますが、ベルトを含めた全体を撮影すると、肝心の時計本体がどうしても小さく写ってしまいます。本当に見せたいのはベルトではなく文字盤なので、まずはこれを大きく写すことを念頭に置いて撮影に臨みましょう。

▼文字盤をアップで撮れば、細かなデザインも分かる!
100mmのマクロレンズを使って、文字盤部分を大きくクローズアップ。これで、どんな文字盤の時計であるのかが分かりやすくなった。しかし、ガラスの部分が光の反射で明るくなりすぎ、全体にシャープさを欠いた印象になってしまった

 腕時計は、光沢のある金属部やマットなペイントが施された金属部、さらに透明感と写り込みのバランスが求められるガラスなどが、とても小さな面積に凝縮されています。そのため、何も考えずに撮影すると、周囲の家具や天井が写り込んでしまうなどして、高級感が感じられる仕上がりにはなりません。また、ある程度使った腕時計は、ベルトに巻きぐせが付いてしまい、それがチープさを感じさせる要因になります。

 そこで、腕時計は平らな布やバック紙にそのまま置いてしまうのではなく、腕時計のカタログやパンフレットで見られるように、文字盤の部分が立つようにして置いてみましょう。こうすることにより、時計そのもののフォルムが美しく見せられるだけでなく、光の当て具合がコントロールしやすくなるという効果ももたらします。

 ただし、腕時計は文字盤の部分が一番重いだけに、そのままではうまく立ってくれません。そこでおすすめなのが、ボール紙などを筒状に巻いたうえできれいな布で覆い、これを腕に見立てて腕時計を巻き付けるのです。こうすることで、腕時計を簡単に立てることができ、腕に付けた時に近い状態の写真を撮影できるわけです。

▼筒にきれいな布をかぶせ、そこに腕時計を巻き付けてみる
トイレットペーパーの芯にきれいな空色の布を巻き、これを腕に見立てて時計を巻いてみた。布は、マフラーなどの大きめのものを使うのがよく、この例のように適当にドレープ(しわや重なり)を付けながら背景を兼ねるのがベストだ
▼腕に巻き付けたイメージを美しく表現できた!
先ほど紹介した方法で、トイレットペーパーの芯に時計を装着して撮影した。平面にベタ置きするのと比べ、まるで腕に装着したかのような自然なフォルムで撮影できた。とはいえ、まだ完璧な仕上がりではなく、文字盤の周囲の紺色部分と金色部分の光り方のバランスが悪いと感じる

 また、この状態ならば腕時計が容易に動かないため、蛍光灯のデスクライトを動かして光をコントロールするのも容易です。ファインダーをのぞきながらデスクライトを動かし、ゆっくりと光の向きを変えていきましょう。

 ライティングのポイントは、文字盤のガラスに照明を巧みに写り込ませることです。ポイントは、光がガラス面に反射した「キラリ!」という質感が感じられるよう、少しの面積だけを光らせるようにすること。ガラスの全面が光って文字盤が見えなくなったり、逆に光の写り込みがまったく入らずに平面的になるのはNGです。

 どうやっても文字盤のガラスに締まりが感じられない場合は、黒い紙や布を用意して、時計の金属やガラスの部分に写り込ませてみましょう。すると、コントラストに強弱がつき、見た目の高級感がアップします。

▼金属の質感を高めるために、黒い紙を写り込ませてみた
今度は、撮影ボックスの右の壁に黒い紙を立てかけて、光に強弱を付けてみた。すると、文字盤の周囲にキラッとした金属感を保ちながら、文字盤内部のディテールがよく分かるようになった

 なお、大半のオークションサイトでは、1出品につき3枚程度の写真を掲載できます。そのため、1枚の写真ですべてを説明する必要はなく、時計やベルトなどの特徴的な部分をクローズアップで撮り、2〜3枚の組写真で見せるのが効果的でしょう。

▼ポイントとなる部分のアップの写真を組み合わせて、品物の状態を見せよう
ベルト先端のバックル部のロゴや、背面のスケルトンバックをそれぞれアップで大きく撮影してみた。柄や模様がハッキリ見えるだけでなく、細かなキズや汚れの状態なども分かりやすい。先ほどの文字盤の写真を含めて3点を組写真として使えば、腕時計全体の写真がなくても、この腕時計の魅力がどこなのかや、商品がどんな状態であるのかがとても分かりやすい
●今回のまとめ
・必要な部分を大写しにして撮り、ディテールをしっかりと見せる
・撮影時はベタ置きではなく、時計を立てると見栄えがよくなる
・紙の筒などに巻けば、腕に装着したような自然なフォルムになる