おいしいものはクローズアップでダイナミックに撮ってみよう!


 これまで、ライティングのちょっとしたコツを紹介してきましたが、今回は構図の取り方について解説していきましょう。ライティングなどの基本的な部分に関しては、前回までの記事を参考にしてください。


見せたい部分を思い切りアップにして撮る!

 レストランや旅先などでおいしそうな食べ物に巡り会うと、思わず写真を撮って残しておきたくなるものです。特に、見た目にもおいしそうなデザートは、舌で味わうだけでなく、あとでゆっくり写真を見るのも楽しくなりますよね。

 そこで、フルーツが山盛りになったタルトを、室内照明のまま撮影してみました。全体の形状やお皿の柄もきちんと分かり、記録写真としてはなかなかよい仕上がりだといえます。ですが、タルト生地のサクサク感や、フルーツのみずみずしさなど、食べた時に感動した部分があまり伝わってくる感じがしません。

▼まとまってはいるが、どこに感動したのかが分かりづらい
テーブルの上に置いたフルーツタルトを、目線からそのまま撮影したカット。どんな形状のケーキであるのかはよく分かるものの、このケーキの何に感動して写真を撮ったのかがイマイチ分からない

 この写真の一番の問題は、視線が自分の目の高さに固定されているということです。目の前に実物がある現実とは異なり、写真はよほど大きなプリントにでもしない限り、感動がうまく伝えられないものです。

 そこで、思い切って視点を大きく下げてみる方法を使ってみましょう。見下ろす視線ではなく、横からの視線に変えることで、食べ物の表情がまた変わって見えてくるからです。食べ物を上から表面的にとらえるだけではなく、横などの別方向から見ることで、画面の奥行き方向にも広がりを感じられるでしょう。

▼見せたい部分を大写しにすると、撮影者の意図が伝わる
今度は、視点を思い切り下げたうえ、見せたかったケーキ後部のタルト生地部分をこちらに向けて撮影してみた。すると、サクサクとした生地の質感と、フルーツのフレッシュさの対比が分かりやすくなった
同じ角度から、さらにタルトをクローズアップで撮影してみた。すると、フルーツの表面にある粉砂糖の質感まで分かるようになった

 食べ物や皿全体を写した写真は1枚あれば大丈夫。あとは、本当に見せたい部分を思い切りクローズアップすることで、その質感や形状が分かりやすくなります。お皿を回すなどして、見せたい部分を手前に持ってきて撮るのがよいでしょう。

 クローズアップ撮影は、見せたいものだけを大写しにしつつ、それ以外はフレームからあえてはみ出させて見えなくしてしまう手段です。ですが、せっかく高性能のデジタル一眼レフカメラを使っているならば、ピントの表現による強調もここでは1つの手法として有効でしょう。見せたい部分をここと決めたら、絞りを開け気味にして撮影することにより、被写界深度(ピントが合って見える範囲)を狭めるのです。

▼絞りを開けて撮影し、前後をボカすのも効果的だ
2つ上のカットと同じ構図だが、今度は絞りを開けて撮影することにより、手前の部分だけを注目させるようにしてみた。こうすることで、写真を見る人に注目してほしい部分を効果的に描写できる

 こうすると、見せたい部分だけにピントが合って、見せたくない部分はボケている、という表現ができます。ボケ味の美しい交換レンズが用意できれば、デジタル一眼レフならではの美しい表現が可能になることでしょう。

▼クローズアップ撮影の楽しさを、いろいろな被写体で試してみよう!
今回紹介した撮影方法は、さまざまな食べ物や小物の撮影に応用できる。大胆なクローズアップの撮影手法で、おいしさや感動をダイレクトに伝えてみよう!
●今回のまとめ
・料理は真上からではなく、視点を低めにして狙うと立体的に見える
・見せたい部分だけをクローズアップすると、質感が表現しやすい
・絞りを開けて撮り、見せたい部分以外をぼかす表現も効果的