クローズアップレンズを使えば、手持ちの標準ズームレンズがマクロレンズを超える!


 前回は、手持ちのレンズの前面にはめ込むだけで、手軽に接写が楽しめるようになる「クローズアップレンズ」を紹介しました。手軽に使えて値段も安価なことから、単なる間に合わせ的な用品のように思われがちですが、実は通常のマクロレンズではできない撮影も行える優れモノなのです。
▼これがクローズアップレンズだ ▼レンズの先端にはめこむだけでOK
これがクローズアップレンズ。プロテクターやフィルターと同じ形状なので、レンズ前面のフィルター用ネジを利用してはめ込むだけでよい。大きさや重さが装着前とあまり変わらない点も◎

 その特徴の1つがズーミングです。ほとんどのマクロレンズは単焦点となっており、ズームタイプのものは数えるほどしかありません。しかし、クローズアップレンズはズームレンズにも付けられるので、接写の際にもズームが可能になるわけです。

▼マクロレンズは、ほとんどが単焦点タイプだ
ニコンの最新マクロレンズ「AF-S VR Micro Nikkor ED 105mm F2.8G」(実売価格9万9800円)。表記の通り、単焦点タイプとなっている。また、「D200」や「D70」などのデジタル一眼レフカメラに装着した際は、焦点距離が157mm相当となり、かなり望遠気味になってしまう

 単焦点のマクロレンズを利用する際、被写体の大きさを調節するときはカメラと被写体との距離でコントロールするのですが、カメラを三脚に取り付けた際は位置を動かすだけでもひと苦労です。ところが、クローズアップレンズ+ズームレンズの組み合わせなら、カメラを固定したまま手軽に画角の変更が可能です。ネットオークション用の撮影など、大きさの異なる品物を複数撮影する場合はとても便利です。

 さらに、ワイドレンズで接写が楽しめることも大きな特徴です。デジタル一眼レフで使えるマクロレンズは、焦点距離が80〜160mm前後の中望遠〜望遠タイプがほとんど。そのため、旅先などでテーブルに出てきた料理を写したい場合、かなり後ろに下がらないと全体を写し込むのが難しくなります。ところが、クローズアップレンズ+ワイドレンズの組み合わせならば、近くからでもラクに1画面に写し込めます。

▼100mmのマクロレンズで撮影 ▼通常の広角レンズ+
 クローズアップレンズで撮影
100mmの単焦点マクロレンズで撮影した桜の花。花を主題としているのはいいとして、背景が何であるかがほとんど分からない写真となってしまった。花が大写しなわけでもなく、どことなくイマイチ ワイドレンズにクローズアップレンズを装着して撮影してみた。花そのものは、マクロレンズでの撮影より小さくなってしまったが、桜がビル街の一角にひっそり咲いたものだということが分かる

 また、被写体のみを浮き立たせる効果がある望遠系のマクロレンズとは異なり、ワイドレンズを使ったマクロ撮影ならば被写体の背景までクッキリと写せるので、周囲の状況を分かりやすくした写真が楽しめます。

▼100mmのマクロレンズで撮影 ▼通常の広角レンズ+
 クローズアップレンズで撮影
ナシゴレンに乗った目玉焼きがおいしそうなので撮影。きれいな彩りのランチプレートだと分かり、これはこれでまとまりは悪くないのだが… クローズアップレンズ+ワイドレンズでの撮影。ナシゴレンのほかにもコーヒーやデリを並べた、明るいカフェでの食事だと分かる写真になった

 ワイドレンズでのマクロは、被写体の遠近感を誇張する効果もあります。これを小さな被写体での撮影に使えば、形状をおもしろくデフォルメした写真になります。望遠マクロでは、被写体のプロポーションを端正に描くのに対し、広角マクロならばマンガチックなデフォルメが狙えるのです。

▼100mmのマクロレンズで撮影 ▼通常の広角レンズ+
 クローズアップレンズで撮影
100mmのマクロレンズを使い、後方から撮影したミニカー。前輪、後輪ともにほぼ同じサイズに見え、クルマのプロポーションが美しく描かれている。クルマ雑誌でよく見かけるような、まとまりのよい写真に仕上がった 今度は、クローズアップレンズ+ワイドレンズで撮影。レンズに近い車両後部がせり出すように大きく見え、力強い感じになった。歪みが大きいとも捉えられるが、ちょっとしたカメラの向きでクルマのプロポーションをコントロールできるのがおもしろい

 ワイドでのマクロ撮影は、コンパクトタイプのデジタルカメラでは標準的な機能ですが、一眼レフではなかなか味わえない表現です。手軽に入手できるクローズアップレンズを手に入れて、こんな表現の撮影も行えると楽しいですよ。

●今回のまとめ
・クローズアップレンズを利用すれば、マクロレンズでは少ないズームでの接写が楽しめる
・マクロレンズには少ないワイドレンズとの組み合わせも新鮮だ
・ワイドレンズ+クローズアップレンズの組み合わせならば、小さな被写体をデフォルメした表現が楽しめる